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災害時の子どもの心のケア~生活面での対応・遊びの中の対応

地震や火災など、被災された方だけでなく、メディアを通して子どもが長時間繰り返しその様子を見せられることにより起こる、子どものメンタル面への影響が指摘されています。

今回は、災害時に身近にいる大人(専門家ではない)ができる、子どもに対しての心のケアについて、普段の生活面での対応・遊びの中の対応をユニセフのサイト「災害時の子どもの心のケア 一番身近なおとなにしか出来ないこと」の中から紹介したいと思います。

つらい体験をしたときの、子どもの脳のはたらき

平常時、子どもが何かを体験したとき、まず五感や感情など感覚的なイメージで受け取り、「感じる脳」で処理されます。その後脳梁という架け橋を渡り、「考える脳」へと移行し、体験したことを言葉として理解・解釈するのです。

たとえば雨に濡れたとしたら、雨の音や冷たい感覚をまず「感じる脳」でとらえて、つぎに「雨が降っている」「雨で自分がぬれた」などと体験したことを言語化して認識します。

ところが、災害時などつらい体験をしたときは、本能的に自分を守る力がはたらき、本能的に動くために必要な「感じる脳」を働かせ、感じる脳より複雑で処理にエネルギーと時間を要する「考える脳」を休ませようとします。その体験が怖ければ怖いほど、その働きは強くなるのです。また、感じる脳から考える脳への橋渡しを担う脳梁も小さくなってしまいます。

こうなると、つらい体験についての意識的な記憶がぼんやりし、言葉で話せる記憶としてではなく、気持ちや感覚の記憶としてのみ残っていきます。そうすると、つらい体験を言葉で思い出そうとしても言葉で記憶しているわけではないので、子どもの気持ちが混乱してしまうのです。

そのため、つらい体験のあと、生活全般においても考えることがうまくいかなかったり、気持ちがたかぶったり、感覚的な情報収集につとめたりといったことが、ある一定の期間続くのです。

普段の生活面での対応

災害時の心のケアでもっとも大切なことは、子どもが「安心」と「安全」を感じられるようにすることです。

①「大丈夫だよ」というメッセージを言葉だけでなく、抱っこや背中をなでるなど、さまざまな形で伝えます。

②睡眠・食事など日常生活をなるべく規則正しくすることで、子どもは次に何があるかの見通しを持てます。結果、心身両方のメリットがあるのです。

③親や保護者のそばに子どもがいたがるときは、安心感や安全感を今まで以上必要としている表れですので、無理に引き離さないようにしましょう。

④寝る前にいつもしていたお話タイムや、いってらっしゃいのタッチなど、楽しみにしていることは引き続きする必要があります。ただ、そのことが引き金となり、つらい体験後の反応が引き起こされるようなことがあれば、無理には行わないでください。

⑤子どもにとって安全で居心地がよいと感じられるようにするためには、出来る範囲で子どもに選択権を与えて、子どもに選ばせたり決める場面を作りましょう。

⑥子どもがつらい体験をしたとき、そのことを繰り返し表現する必要があります。大人が無理に話させたりすることなく、思いやりを持ち時間をかけながら聞いてあげることが、癒やしのプロセスに必要です。

⑦子どもは遊ぶことで、つらい体験を乗り越える元気を持って癒やされていきます。できるだけ遊ぶ時間を確保し、大人も一緒にあそぶ時間をもってあげましょう。

⑧子どもがぐずったりイライラしたり、乱暴なことをしたりしたときは、「なんだかいやな気持ちなんだね」などと、気持ちを受け止める言葉をかけましょう。そのことで、要求自体がかなわなくても子どもの心が落ち着きやすくなります。

⑨子どもは見通しが持てなかったり知らなかったりするとき、不安や恐怖が募り、起こったことを実際より恐ろしいものとして空想してしまいます。そのため、年齢にはよりますが、起こったことははっきりと真実を伝えましょう。また子どもは起こったことを自分のせいにしてしまう傾向もありますので、「○○は悪くないよ」ときちんと伝えることも重要です。

遊びの中での対応

子どもの心のケアで大変重要な鍵を握るのが、「遊び」です。一見無関係に思われる遊びがどうして子どもの心のケアに必要なのか、また、つらい体験をした子どもに、周囲の大人が遊びという行為を通してできる対応について解説します。

<どうして遊びが必要なの?>

言葉の発達途上にある言葉に対し、遊びが子どもの発達上いちばん適した表現方法であるからです。先ほど説明したように、子どもの脳の中には、未処理のつらい記憶や気持ちが「感じる脳」に残ります。残った記憶や感情を処理するために、感じる脳に直接働きかけることが必要なのですが、その手段が「遊び」となります。

遊びにより感じる脳に働きかけることで、言葉にならない色々な気持ちや考えが整理され、不安や混乱した気持ちが軽減されるのです。(大人も同様です)

<どのような遊びをすればよいですか?>

遊びには、ルールや手順が決まっており、大人が子どもに遊び方を提示するか子ども同士がみんなで遊ぶ「構造的な遊び」と、大人の見守る中で子どもが自発的に自由に遊ぶ「自由遊び」のおもに2つあります。

子どもの心のケアにとって、両方の遊びが必要です。その理由は、構造的な遊びは「感じる脳」の主に五感にはたらきかけるもので、自由遊びは「感じる脳」の主に感情部分に働きかけるものだからです。

・構造的な遊びの一例…ヨガや呼吸法、あるもので自由に「まちづくり」の情景をつくる、ハンカチ落としなどのゲーム、ブレスレットやネックレスづくり、コラージュや元気が出る内容の替え歌、シャボン玉、お守り石(ライナスの毛布原理)、新聞にパンチする、カチカチとふにゃふにゃ(筋肉の緊張と弛緩)、人形劇で正しい知識の提示(災害に対する誤解の修正)など

うえにあげた遊びが難しい月齢の子どもの場合は、いないいないばあや歌に合わせ膝をゆらしたり、新聞紙などでつなひきごっこをしたり、布の上に子どもをのせてゆらゆらしたりなどといった、ふれあい遊びをしてあげてください。

・自由遊びの一例…ごっこ遊び、おままごと、お絵かきなど

大人が寄り添う対応をとることが大切です。子どもの顔がよく見えるような位置に座り、子どもに感心を持っていることを示しましょう。子どもの状況に「遊びへのあいづち」をしてあげましょう。たとえば子どもが遊んでいる間に、子どもが身ぶり手ぶりや表情、動きで表現したことを言葉にして伝えるのです。子どもが出した感情についても、「いやだったね」「おもしろいね」などと言葉に表現してあげてください。大人が言葉にすることで、子どもは自分の気持ちが認められたと感じ、つらい体験に対する対応に取り組むという心の余裕ができ、さらに自らの行動と気持ちがつながる機会になります。

最近も話題にもなりましたが、地震や津波を再現する「地震ごっこ」「津波ごっこ」をする子どもがいますが、子どもたちがトラウマやストレスを乗り越えるために行う「遊びの形をとった自己治癒の試み」であるため、無理にとめないようにしましょう。ただし、その行為がエスカレートし危ない状況になるのであれば、安全に遊ばせられるような配慮は必要です。

まとめ

・災害時の子どもの心のケアについての解説でした

・心のケアについては、普段の生活面での対応や遊びの中での対応で、大人としてできることがあります

・地震ごっこや津波ごっこは無理に止めないようにしましょう

2015_children_support.pdf (unicef.or.jp)

an_59.pdf (unicef.or.jp)

「地震ごっこ」はゆったり受容を!災害後の子どもの心のケア | 保育のお仕事レポート (hoiku-shigoto.com)

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