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子どもへのごほうびについて考えてみよう
子育てのなかで、子どもにごほうびをあげる場面があるかと思います。ごほうびは、子どものモチベーションほんとに上がりますよね。子どもが何かに取り組む際、ごほうびのために頑張るのではなく、そのものに打ち込んでほしい、楽しんでほしいなとは思いますが、なかなか難しいところでもありますよね。そこで今回、子どものやる気持続のためにどのようなごほうびを、どのようなタイミングであげればよいのかといったことについて考えてみたいと思います!
内発的動機という言葉があります。これは、ごほうびなどの有無にかかわらず、「ただやるのが楽しい、やりたい」といった、自分の中から起こる動機ややる気のことをいいます。それに対して、「〇〇がほしいから△△する、したい」といった動機は「外発的動機」といいます。
大人から言われたから、がんばれと言われたからやるのではなく、できれば何事も、子ども本人の「やりたい!」がまずあったうえで、そこを大人がサポートしていきたいですよね。
ポール・タフさん著「私たちは子どもに何ができるのか」のなかで、心理学者のデシとライアンの行った実験について述べられています。2人はライフワークとして様々な実験や検証を行ってきましたが、そのうちのひとつについて紹介します。
学生を集めて、2つのグループに分け、3日間あるパズルの課題を与えます。1日目はどちらのグループにも報酬なし、2日目は片方のグループのみ報酬が出ました。3日目は、2日目に報酬が出たグループに対し冒頭で「予算の関係で報酬が出せなくなった」と学生に伝えました。
すると、3日とも報酬なしのグループは、だんだんパズルに熱中してのめりこみ、パズルを完成させるまでの時間も短くなっていきましたが、2日目のみ報酬が出たグループは、初日はパズルに夢中になっており、報酬が出ると伝えられた2日目はさらに(報酬を得ようとして)パズルに取り組みましたが、報酬が出ないと分かった3日目にはパズルに見向きもしなくなってしまったというのです。
本書によると、「わくわくするパズル遊びが報酬の導入によって『仕事』になってしまったのだ。仕事となれば、支払いも受けられないのにやりたがる人はいない。」とのことでした。こうなってしまうと、報酬なしではやる気がでないということになってしまいます。このことを「アンダーマイニング効果」といいます。
逆に、ごほうびのために頑張っていたものが、気が付けばその取り組み自体が楽しくなり、のめりこんでいった…ということもあるかと思います。これが外発的動機から内発的動機にかわる「エンハンシング効果」です。子どものやる気持続のためにも、本人のやりがいや成長のためにも、できれば内発的動機からの行動がよいですね。
ごほうびのあげかたとしては、できれば結果よりその過程などの行動に対してのごほうびがよいかなと思います。もちろん結果に対しても、本人の頑張りを認めてあげるのは大切ですが、その過程をほめてあげるのが大事です。またごほうびは必ずしも物ではなく、子ども本人の行動に対しての言葉がけ(物的ではなく、精神的なもの)が大切かなと思います(もちろん物がだめというわけではありません)。そばでずっと見守っていてくれた保護者からほめてもらうことで、子どもも「ちゃんと自分のことを見ていてくれたんだな」とうれしくなりますし、子どものやる気につながります。結果よりも行動に対して、物のごほうびよりも言葉がけで子どもを認めてあげ、子どものやる気持続につなげたいですね!
今回、子どものやる気持続のためには、どのようなごほうびを、どのようなタイミングであげればよいのかといったことについて考えてみました。子どもへのごほうびといった「外発的動機」を、子ども自身からわきあがってくるやる気である「内発的動機」に変えていけるように、大人もサポートしていけたらいいですね!